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彼依存
第11章 記憶の一部
その日に見た映画は
恋愛系でもなければ青春系でもない。
お父さんも私もずっと見たかった映画。
家族の深さを描いたものだった。
きっと言葉では上手く言えない事を
映画を見る事で伝えたかったんだと思う。
「泣かないでよ」
「いやぁ、あれはお父さんには辛い」
「え?何で…?」
「藍にもいつか
彼氏が出来るのかと思ったら
涙が止まらないよ」
この時は何で彼氏が出来たら
お父さんが辛いかなんて
分かんなかった。
夕焼けを受けるお父さんの背中が
震えていたのは
忘れないと思う。
「いつか素敵な彼氏が出来て
幸せに笑う藍を見せてくれよ?」
変なの。
辛いのに見たいんだ…
また複雑な気持ちになっちゃったよ。

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