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マネキンなカノジョ
第2章 カノジョとランジェリー
ドサッとベッドの上に腰を下ろし、軽く溜息を吐く。
「何だか…疲れた……」
そう呟くと、ベッドの縁に腰を下ろした儘、後ろに倒れ込んだ。
その衝撃にベッドはギシギシと軋み、数回体が軽く弾む。
見上げる白い天井を視界から遮るように、閉じた目の上に右腕を重ねる。
シャワーを浴びたばかりの髪の匂いが鼻腔を擽る。
物音一つしない静かな部屋。
時折、建物の前を車が走り抜けていく音が、カーテンを閉めた窓を通り抜けて耳に飛び込んでくる。
「はぁ………」
再び溜息を吐き出す脳内には、僅か数時間前までの出来事が浮かび上がっていた。
初めて脚を踏み入れた店。
言われた通りにしなければ、一度も踏み入れる事は無かった店。
そして、如何わしい物に溢れた店内の一角で起きた出来事。
軽く右腕を上げて、瞼を開けた視線を横に向ける。
横目で見た視界の中に、小さなガラステーブルの上に置かれた二つの紙袋が飛び込んでくる。
「…現実……なんだよね…」
再び右腕で視界を塞ぐと、狭い空間の中で、淫らな下着を着けた体を姿見に映している光景が蘇る。
クローゼットの抽斗には、白やピンクのシンプルなデザインのショーツや、飾り気の無いブラジャーだけ。
しかし、持ち帰った紙袋の中には、極端に布地が少ない物や、カップや股布が割れている物ばかり。
そして、大半が透ける程の薄い生地で出来ている。
一生身に着ける事は無いと思っていた過激な下着が、今、僅か数センチの場所で紙袋に包まれていた。
どれもこれもが、試着で一度は体に着けた物。
着けた瞬間を思い出すと、バスタオルに包まれた胸が上下に大きく動いて息が荒くなってくる。
「…私……どうしちゃったんだろ………」
右脚の踵をベッドの縁に乗せて膝立てる。
パラッとバスタオルが捲れ、今まで以上に外気を股間に感じた。

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