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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命

―残念ながら若君さま、それは叶わぬ仕儀にござります。若君さまのご幼少ながら人の器を見抜く慧眼には爺は感服仕りますが、今の世は人は生まれた身分を越えてまで、その器を活かすことはできぬもの。利発ながらも、八百屋の倅として生まれたのがその者の宿命にござりましょう。
八千石の旗本の嫡男は大身の跡取りとして、八百屋の倅は父親の跡を継いで八百屋になる。それが世の理なのだと源五は幼い栄佐に懇々と諭した。
八千石の旗本の嫡男は大身の跡取りとして、八百屋の倅は父親の跡を継いで八百屋になる。それが世の理なのだと源五は幼い栄佐に懇々と諭した。

