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~散花~
第6章 お妃教育

そっと髪を撫でられて、玉蘭は洟だらけの顔をあげた。
玲利が呆れた顔で立っていた。
「拭きなさい。ひどい顔。地面に落ちたものなんか使っちゃだめよ」
差し出されたハンカチを受けとる代わりに、香木を取り上げられた。
涙をぬぐい、鼻をかむ。
髪を撫でてくれる玲利の手が嬉しかった。
「怒鳴ったりして悪かったわ。いきなり鳩尾をやられて、カッとなってしまったの」
「ごめんなさい…」
「私のほうこそ、急ぎすぎたわね。ここへ来てまだ二日目なのに」
呂栢に「もういいわ」と言って退がらせると、玲利は厨子から小瓶を取り出した。
それは昨夜マッサージに使ってくれた秘薬だった。

