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~散花~
第15章 逢瀬

「なにやつ!?」
突然、女が跳ね起きた。虚空を睨んで耳を澄ます。
「彰媛…どうなさった…」
男が女の肩を抱き寄せた。
「今、何者かが覗いていた」
「人払いはなさったのでしょう…? あぁ…彰媛…お早く続きを……あっ…ぅぐっ!?」
ねっとりと女に絡みついていた男の顔が苦痛に歪んだ。
女が枕元から短刀を取り出し、男の心臓を貫いたのだ。
数秒で男は息絶えた。
「うるさい、黙っておれ」
男の返り血を浴びた裸体に薄衣をまとい、几帳や御簾をかきわける。
広縁に出ると、南中しかけた陽射しが眩しく女は目を細めた。
ふと、柱の根元に見馴れぬ物が落ちているのを見つける。拾い上げた。掌に納まる、小さな袋だった。

