この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒舌
第4章 近くて遠い
『おりょうは、17にもなる行かず後家で』
「イカズゴケ?」
『その頃は12~3で嫁に行くのが当たり前だったからな。17なんてもうオバンだ』
辛辣なトビの言葉に
私は目をむいた。
「私今19なんですけど!」
『ふ、オバン』
時代が変わったんだから
そのモノサシは
やめてほしい。
『おりょうは自分の部屋から一歩も出てこない変な娘だった。どんな醜女かあるいは病弱かと思ったが、実際には雪ほど眩しい白肌の美しい娘だった』
トビでも
誰かを
褒めることがあるのかと
またまた驚いた。
『褒めてねぇよ』
「美しい娘だったんでしょ?」
『――事実だ』
事実を認めることは
つまり褒めていることに
入らないのだろうか。
トビの考え方は謎だった。
『殺してやるつもりで押し入ったが、』
「待って!なんで急に物騒?話が急展開すぎ」
どんな話だ、と
慌てる私に
トビは冷ややかに言った。
『お前、何回言えば解るんだよ。俺は妖怪なんだぜ?』
実体のないトビは
私の中にいる。
私が知るのはそれだけで
トビは意地悪だけど
一応人畜無害だ。
『笑わせんな。――まぁいいさ、話の続きを聞いてろ』
トビが
どんな恐ろしい存在だったか
私には想像出来ない。
何となく緊張してきて
自然に
ゴクリとのどがなった。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


