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毒舌
第16章 試してみない?
「わからない、っていうのは案外不安を煽るものよ?人間は想像力が豊かだもの、そうかもしれないし違うかもしれないっていうどっちつかずは一番不安定」
酔いのせいなのか
より一層
凄みのある静かな目は
迷いや戸惑いを
的確に突いてきた。
「でもトビは、私の知らないことだってたくさん知ってて…!」
だから
私が生み出せる
架空の妄想なんかじゃ
ないのだと長年思ってきた。
私の知らない感覚までも
おりょうが教えてくれたのは
最早疑う余地もない。
だから
妄想なんて
有り得ないこと。
「人間の記憶て不思議なものでね?」
女医という立場上
私なんかより
しっかりとした
裏付けをもって
語られる。
それは
耳を塞いでしまいたい
残酷なもの。
私の確信を
容易く崩す
滅びの呪文。

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