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毒舌
第11章 堕ちていく
「何?みとれちゃった?」
「チガイマスよ。私服初めてだから珍しかっただけです」
「それ、みとれたのと違うの?」
「もちろん違います」
静かな低音の
車の振動。
香島さんの車のそれは
けっこう乗り心地がいい。
けれど。
(前回いきなりキスされたからそういう意味じゃ居心地最悪)
『だから。そこも込みでOKしたから香島の車に乗ったんだろ?』
(いやいや。全然水に流してないんですけど)
『香島の解釈はそうはならんだろうけどな』
「………………」
死んだような目をして
黙り込む私の気持ちを
知ってか知らずか
車を運転している
香島さんは言った。
「ちょっと遠いから高速使うね」
ハイウェイの
ゲートをくぐって
まっしぐら。
……
どこまで行くんでしょう。

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