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毒舌
第3章 新生活のはじまり
そう言われると
途端に
体にぶつかるすべて
痴漢に思えてくる。
腕や背中やお尻や足に
誰かが当たるたび
過剰に体が強ばる。
『知ってるか?そうやって意識してるやつの方が狙われるんだぜ』
耳元では
トビの小馬鹿にした笑い声、
カッと頬が赤くなる。
(黙っててよ!)
目の前のおじさんは
私が黙って耐えてるせいか
少し調子にのって
顔が当たるときに
私の胸元の匂いを
スーハーと音をたてて
嗅ぎ出す始末。
「ちょ……!」
「あぁすいません、酸欠ぽくて。満員電車は酸素薄いですね」
取って付けたような
おじさんの言い訳に
私はまた
何も言えなくなった。

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