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half. ~Sweet blood~
第9章 生き方と、別れ…

「達希学校はどうだ?」
「もうすぐテストなんだ、お父さん勉強教えてよ。英語得意なんだろ?」
「いいよ、じゃぁまずは参考書を見に行こうか」
お父さん。
俺はこう呼ぶ時もある。
そんな時のお父さんはとても穏やかに笑うんだ。そして、あの暖かな手で頭を撫でてくれる。
「いい点が取れたら、旅行でも行こうか」
「まじで?じゃぁ本気出さなきゃ」
親から愛情なんてもらった事がない俺は、時折10代の少年に戻る。お父さんも本当の息子の様に受け入れてくれる。
我が儘な俺をいつも《素直でいいこだ》と誉めてくれるんだ。貴方が居なければ俺は俺じゃなくなる。
「お父さん…俺幸せなんだ」
「父さんも…幸せだ」
憧れていた家族像に、恵まれた生活。
もう何もいらない。
貴方がいれば俺はそれでいい。

