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恋セヨ乙女
第12章 嫉妬
「荷物」
「?」
「荷物よこせ」
「は?」
「持ってやるって言ってんだよ鈍くせーな。察しろ」
大地が私から大袋の束を奪った。
「いいよ、自分の物は自分で…」
「こんな大荷物持たせてたらのろまが余計のろまになるだろ」
「む、」
本当に一言多い奴なんだから。
「しかしたかだか三泊くらいでよくこんなに買うモンがあるな」
「そうだよ、女子は大変なの」
「何が大変なんだか、どうせほとんどムダ遣いなんだろ」
「失礼な!女子の目は女子に厳しいんだよ?こういう時ほど気は抜けないの」
「ふーん、そりゃ大変だな“女子”とやらは」
大通りをしばらく歩いた先に駅がある。
帰宅ラッシュも終わった時間帯だけにホームには人もまばらだ。
二人並んで電車を待っていると……ふと目を向けた先に見覚えのある姿を見つけた。
それが誰か一瞬で分かって私は動揺する。
先生…
視線がさ迷う。挙動がぎこちなくなる。
そんな私に大地は気づき、不思議そうにその先を見て見つけたのだろう。
大地の空気が変わった。

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