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近くて甘い
第26章 悪女は転ばない
ひぇっ…という声としゃっくりを同時に上げた加奈子は、机に頬を付けてぼんやりと遠くを見る。




「まず、会社員でもないのに、あの二人に出会った事がすごいよねぇ」




感心するようにして藍が呟くて、加奈子は、ゆっくりと息を吐いた。



「社長には悪いけどさ…副社長と真希ちゃんが結ばれるのが、一番自然だったような気がするんだよね…」



「…どうして?」



「え〜だってね…?」



呂律が回らない中で、加奈子が、真希・光瑠・要の過去を話していく。



その話を最初は不機嫌に聞いていた香純だが、次第に顔を明るくしていった。



「えっ…じゃあ、副社長が事故に合わなければ…」


「………運命って、残酷…」



胸を痛める藍と加奈子。



だが、香純は有力な情報を手に入れて、微笑みそうになっていたのを必死で堪えていた。



あの冴えない子どもが社長の心を射止めたのは

単純に以前の婚約者に似てたから…



使える…これで、藤木真希自体にダメージを与えればいいじゃない。



「まぁ、そう落ち込まないで呑みなっ!」



「何よっ…香純…突然…」



「いいから呑みなっ!」



ニコニコあざとく笑う香純に加奈子と藍は顔を見合わせた。
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