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近くて甘い
第20章 王子の申し出

大きな瞳が、まっすぐに光瑠を貫く。


憎らしい…

俺が何も出来ないのを知っていて、挑んで来ているに違いないっ…



「だぁああああ!!!分かった!

おいっ!ドジ女っ!!!!」



突然叫んだ光瑠に加奈子が驚いて背筋を伸ばした。



「俺は全く悪くないが、悪かった!」


「はっ…えっ?」


「ちょっと光瑠さん!それ意味が分かんないです!」


「黙れっ!この俺が“悪かった”と言ってるんだぞ!もうそれで十分だろうが!!」


横暴な社長に、怯まずに挑むその少女の事が加奈子はずっと気になっていた。



──────私見たことあるの、社長の婚約者



はっ…もしかしてっ…前に香純が言ってた…



──────高校生。有り得ないでしょ?



「もう…本当に乱暴なんだからっ…
あの…ごめんなさい…。いつもお仕事ご苦労様です…」



丁寧に頭を下げたあと、書類を拾おうとしゃがもうとした真希の手を加奈子はすかさず掴んだ。
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