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近くて甘い
第54章 恩返し
「失恋って辛いよなぁ…」



亮くんはそう言って自嘲するような笑いを零した。



「また私のこと悪者にするような話をするつもりでしょ」


「そういうわけじゃねぇけどさ!」



そういって、亮くんは、ケラケラと笑った。



そうだ…



最初、亮くんは梨子に一目惚れして、何度も告白してたのに、毎回それはそれは見るも無惨な散り方をしてて…




「あの時の亮はストーカーだったからね!本当、気持ち悪くて仕方なかったんだから…」



「必死だったんだよ!
俺はこう見えても繊細なんだからなっ!お前がキモいだのしつこいだの言うたびに本当に泣きそうだったんだぞ!?」




力説する亮くんの姿が面白くて、笑っていると、浩平くんもぷっと吹き出して笑った。




「お前、泣きそうだったとか言ってるけど、実際俺の前で何回泣いたんだよ…」



「っ…そういうことは言わなくていいんだよっ!俺だってお前の失恋見てきたんだからな!」



亮くんの仕返しの言葉に、浩平くんだけじゃなくて私もびくっとして、アハハと引きつった笑いを見せていた。






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