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第7章 『俺』の彼女
ピン!

エレベーターのドアが開き、

「あ、翔さん」

その隙間に翔の姿が見えた。


(ふふっ、真面目な顔してる〜)

どこか緊張したような顔をして、翔がエレベーターのドアを押さえる。

その奥から、翔の接客中の相手であろう男性が2人降りてきた。


「─────…っ⁉︎ 」

そのうちの1人に、愛里咲の視線は釘付けになった。

釘付け…というよりも、凍りつくといった表現の方が近い。


翔よりも先に愛里咲に気付いたその人は、

「久しぶりだね」

その人……白取は、恐ろしいくらい満面の笑みで愛里咲の方へと近付いて来た。


(やだ…っ、怖い…)

声を出す事も、身体を動かす事も出来ない。

愛里咲は無意識に自身の身体を掻き抱いていた。

固まる愛里咲の間近に白取が立つ直前、

「愛里咲‼︎ 」

強い力で身体が後ろへと引かれる。

ドサッと抱き寄せられた腕の中。父親となり今まで以上に逞しく感じる広い胸に、愛里咲は身体を擦りよせた。

恐怖に速まる愛里咲の心音を落ち着かせてくれる琉の心音。

だけど、今日は琉には珍しく忙しなく動いていた。


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