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「私が欲しいですか?お嬢様」
第29章 専属〜叶わぬ逢瀬〜
「いや、でも颯太の名前は
片岡ですよ…?」
晴人は尚弥が落としたオタマを
拾い、洗いながら答えた。
「それは亡くなった母親の
旧姓だ」
「旧姓…ではなぜ、颯太は執事を…」
そう、颯太があの華水木の家ならば
執事などやる必要はない。
あの屋敷はお手伝いさんで
溢れてるはずだ。
「その理由はわからない。
だが、沙月様は恵之助様と
お会いし、今回の事を話したと
言っていた。
恵之助様は海外遠征中だったが
すぐに日本に帰ると言っていたそうだ」
「ってことは…颯太は解放
される…って事ですね!?」
「ああ…」
晴人も尚弥も早く彩芽に
颯太を会わせてあげたいと
心から願った。
これで全て解決する。
そう思っていた。

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