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第14章 『魔性』

「恋人…だった…」


「あぁ…宏実…君と出会う前だけど…」


宏実は視線を横に流し…


「そ…う…もしかして…主人のせいですか？」


「兼子さんは…」


麻里と兼子の社内不倫。


会議室での性行…。


その一部始終が録画されたＳＤカードが届いて…

麻里は俺の前から消えていった。


今でも、投げ付けた結婚指輪が目にチラついてくる。


しかし…あの時は中身を知っていたのは…


麻里と…尚子だけだ…。


麻里が去って行った理由は、本当にそこにあるかまでは、正直なところ解らなかった。