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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第6章 夕食
3人の視線が茉莉子に向いた。

「どうしたの?」

と、聞いたところで、仲居が配膳ワゴンで料理を運んできた。黙る4人。

「家族団欒ね。まるで、本当の家族みたいだね」

と、笑いながら、食べ終わっている皿を片付けて、料理を配膳していった。

「あとは、デザートがあるので、様子を見て持ってきます」

仲居はそう言うと、配膳ワゴンを押しながら戻って行った。

「家族団欒か…。俺達には無縁」

壮介が言うと、将星も征人も頷いた。

「それは、わたしも一緒よ。いくら食事を作って、テーブルに並べても、揃うことがなかったから。息子たちは、勉強のキリの良いところまでしてから食べると言って、揃わないし、夫は仕事人間で、帰宅は終電が多いし、出張に単身赴任も多かったから」

茉莉子が話した。

「そう。だから、熱々を作っても、冷めてから食べる感じ。『ご飯よ』と呼んでも、『うるさい』『あとで食べるから』と言われるだけ…。そのうち、わたしも呼ばなくなって、息子たちも好き勝手な時間に食べるようになったわ」

思い出したのか、大きな溜息をつく茉莉子。

「冷めても平気なんだ」

壮介がポツンと呟いた。

「そうね。そういう感じだったから冷めても食べられるメニューになっていったわ。味噌汁とスープはさすがに、息子たちが食べる時に温め直していたけど」

茉莉子が言うと、

「いたけどって?今は」

と、将星が訊いた。

「今は、長男、次男は大学進学で地方。三男と四男は、中高一貫校の寮に入っているわ。夫は単身赴任。姑がいるけど、今は施設に入っているわ。だから、誰も家にいないの」

茉莉子が将星の質問に答えた。壮介が将星、征人の顔を見た。将星も征人も微かに頷いた。暗黙の裡に、これからの方途が決まったという感じだった。

「母親の手料理が食べられるのに、しかも、揃って食べられらるのに、食べないなんて、贅沢な話だよな」

征人が話を戻した。

「そうだよな。今度、お母さんのご飯、皆で食べに行きたいな。買い物でも後片付けでも手伝うから」

将星が茉莉子に言うと、

「そう。今みたいに4人でテーブルを囲んで」

と、壮介が言うと、茉莉子の脳裏に、息子たちとしたいと思っていたテーブルを囲む夕飯の絵が浮かんだ。結局、叶うことの無かった家族団欒。
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