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防音室で先輩に襲われて…
第6章 そういう涙は興奮しない
いつもは乃ノ花が使う椅子に腰掛けている椎名が、部屋の入り口で立ち止まった乃ノ花のほうに振り向く。
「2年の授業が終わってから1時間以上たっている。俺は『すぐに来い』と言ったよね?どうして守れなかったの?」
「…っ、…守るも、なにも」
部屋に入ったはいいものの一歩を踏み出せない乃ノ花は、鞄を両手で抱きしめて震えを抑えた。
「守るもなにもっ…わたしは椎名先輩に言われたから来たんじゃないです。放送部の仕事をするため……」
「……」
「関係ない椎名先輩は部屋から出て行ってください…!」
「…言うようになったね」
「ここは大事な…とても大事な場所なんです!お昼の事は誰にも言いませんから今すぐ出て行ってください」
「そんなことを俺に言うためにのこのこ来たのか。…なら、その大事な大事な場所を守るために、今の君が何をするべきか考えたの?そうやって俺に反抗するのは、確実にデメリットだと思うけどね」
「…っ…卑怯です」
「卑怯、か……その通りだね。だが現に、今の放送部の立場を守っているのは君じゃなくて俺のほうだ」
「…そ、それは」
痛いところをつかれ、乃ノ花の口が止まる。
「いくら君が真面目に仕事をこなそうが、ナンの実績もない生徒がひとりの部活なんて……特例中の特例だ。こういう特例があると予算ぐみに苦労するんだ、わかるかい?放送部は今すぐ廃部にして…放送委員会に切り替えるべきという意見が大半なんだよ」
「い、委員会?でもっ…それじゃあ」
「わかってる、君は嫌なんだろう?
《放送委員会》に変われば、放送に興味がないのに各クラスから嫌々選ばれた連中がこの場所を占拠してしまう」
「……嫌です」
「上坂センパイから引き継いだやり方もその連中に全て変えられてしまうだろうね」
「そんなの嫌です!」
「イヤだイヤだと駄々をこねるだけなら小学生にだってできるんだよ」
彼女のささやかな反抗は、椎名を言い負かすには力不足だ。

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