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防音室で先輩に襲われて…
第4章 もうその優しさに甘えないから


 それがどれほど…救いだったか


「…ぅッ…ぅぅ……せん…ぱい……」

「もっと、俺を頼りなよ」

「……っ」

「ヘンな遠慮はしなくていいから…
 君はもっと俺を利用すればいいから…
 頑張るのは構わないけど、辛いのを隠そうとするのはやめてくれよ」

 微かに上擦った椎名の声──

 彼も泣いているのだろうか

 まさか、そんな筈は、ないのだけれど。そう勘違いしそうになるのは、乃ノ花を抱く彼の腕もまた、同じように震えていたから……

「……な…んで。…?そんなにっ……優しいの……?」

「何故だと思う?」

「わかっ…りま……、そんなの、わかりません……」

「それはね……君がさ
 乃ノ花ちゃんが可愛いから」

「……!」

 よくわからなくなってきた

 これも彼なりの優しさなのか、それともバカにされただけなのか…

(もぉわからないよ……)

 だが今だけは、この腕の中でだけは──素直に喜んでもバチは当たらないような、そんな心持ちになった。

 今まで多くを抱え込んできたぶんを、こうして彼に吐き出すことができたから…

 卑屈な自分が少しだけ、素直な気持ちを取り戻したのかもしれない。



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