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華のしずく~あなた色に染められて~
第3章 【華のしずく】~夏雷~

「美しい月だな」
最近、信成もまた珠々と同じく、漸く珠々と真の夫婦(めおと)になった満足感の中にあるようだ。信成が頭上の月を眺めて感慨深げに言うと、珠々は小さく頷いた。
「さようにござりますね」
だが、珠々には遠くに見える月が良人の言うように美しいとは到底思えなかった。ひと月前にやはり珠々の部屋から眺めた満月には遠く及ばず、白っぽく時に紅くさえ見える月は、何か禍々しさすら感じさせ、珠々の心の奥底の不安をかき立てた。
最近、信成もまた珠々と同じく、漸く珠々と真の夫婦(めおと)になった満足感の中にあるようだ。信成が頭上の月を眺めて感慨深げに言うと、珠々は小さく頷いた。
「さようにござりますね」
だが、珠々には遠くに見える月が良人の言うように美しいとは到底思えなかった。ひと月前にやはり珠々の部屋から眺めた満月には遠く及ばず、白っぽく時に紅くさえ見える月は、何か禍々しさすら感じさせ、珠々の心の奥底の不安をかき立てた。

