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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第7章 それって嫉妬? 清楚系美人の恋敵登場。あたし負けないっ!

 ◆



 最寄りの駅から電車で揺られて40分程度。

 あたしは唯斗さんからもらったメールの住所を頼りに携帯で道案内されながら進む。

 唯斗さんの会社までは車道と歩道がしっかり別れていて、一車線道路の細いなだらかな坂道。煉瓦舗装がされた歩道には桜の木の並木道が続いている。きっと春になったら淡いピンク色の花が咲くのかな。

 ――なんて周りをきょろきょろしながら歩くこと15分。

 一軒家が建ち並び、お寺が見える平地に一際目立つ大きなビルが見えてきた。
 唯斗さんがお仕事している会社だ。

「ここ、かな?」
 入口に入ると、大きなロビーが見える。

 天井がとても高い。
 硝子張りの窓に囲まれたグレーを基調としたシックな空間。
 ちょっとした待合室にもなっているのだろう。
 入口付近にはローテーブルやソファーなんかが置かれている。

 もう少し視線を上げると、案内カウンターが見える。
 そこにはとても美人なグレーのスーツ姿の女性二人が立っていた。

 ――えっと、ここで待っていればいいのかな?

 大学生のあたしはとっても浮いていたんだろう。
 きょろきょろ周囲を見渡す挙動不審なあたしを見かねた受付の女の人が、こちらにやって来た。
 茶髪のショートボブに目鼻立ちがはっきりした美人タイプ。背も高くてプロポーションも良い。
 だけどちょっと気が強そうなその人のお化粧は濃いめ。
 あたしの苦手な雰囲気の人。

「お届け物かしら?」
「あ、えっと。はい」


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