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魅惑~甘く溺れる身体と心。
第1章 あたしの好きな人。

 そしたら、唯斗さんもあたしのことを好きかもしれないって言ってくれたんだ。
 唯斗さん、お父さんといる時、あたしのことを話してくれているんだって。
 お父さんもお母さんのことがあってからというもの、あたしのことを一番に考えてくれていて、この恋を応援してくれるって言ってくれたの。
 お父さんが恋の味方って、鬼に金棒じゃない?
 すっごく嬉しかった。

 それで、あたしはいつか唯斗さんが告白してくれるものと思っていた。
 世間では認められていないけれど、きっと恋人同士になれると思っていたんだけれど――。
 20歳になった今、まだ告白してくれない。
 休日には映画館とか、ちょっとしたお買い物とかは誘ってくれるクセに、そういうのはまったく皆無!

 なにそれ。
 有り得ないでしょ?
 普通、異性で休日に遊びに行くのはデートってことじゃない?
 それなのに――。
 告白も、キスも、なぁああああんにも、なし!!
 手は、繋ぐけど……ただそれは中学の時の名残り? みたいなもので……。

 真新しいことが何もないってどうよ?

 あたしってそんなに女性としての魅力がないのかなぁ。
 ほら、一緒にいて手を出したくなるような感じじゃないってことよね?
 だったら、魅力を磨いてしっかり意識してもらわなきゃ!

 そしてこれを好機と言って良いのか。
 今年の夏休み、お父さんは海外に行くことになっちゃって、あたしは独り暮らしをしている唯斗さんのお家にお邪魔することになっている。


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