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第17章 ただ腕の中で漂う。

　貴方が好き……。


　両想いになりたいなんて、そんなおこがましい願い事はもう言わない。
　だから、せめて。


　こんな醜くて親にさえ捨てられたあたしだけれど、どうか。


　どうか、貴方を想うことだけは許してください……。



　叶わない恋だと思い知れば胸が痛い。

　息が、できない。
　悲しいよ、苦しいよ……。


「っく……っひぃ、っふぇぇ……」
　あたしはただただ差し出された腕の中で、涙を流して許しを乞うた。



《ただ腕の中で漂う。・完》