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僕の愛する未亡人
第1章 隣の席の未亡人

「昨日、息子のこと任せちゃったから、あんまり話できなかったけど……大丈夫だった? 疲れちゃった?」
「昨日は楽しかった」
「そう」
理央は佳織の首元から鎖骨の辺りに鼻をこすりつけるようにした。
理央が体をずらしたから、自然と佳織の左手は理央の頭を抱えるような体勢となる。
驚きはしたが、理央の体のぬくもりは心地良かった。
指先に力を込めて、理央の頭を優しく引き寄せる。
「佐藤くんが甘えてくれたから、あたしも弱音吐いていい? あたし、寂しかったのかも。人肌、安心する……」
佳織にそう言われながら、襟元の髪の毛を撫でられて、腹の奥がぎゅぅうっと熱くなる感覚が込み上げる。
だが、理央の感覚とは裏腹に、佳織は「安心する」のだと言った。
未亡人の心の寂しさと、理央の体の渇望は異なるだろう。
「ん……」
理央の唇が、鎖骨の辺りに押し当てられた。
佳織は声にならない声を漏らす。
偶然かと思ったが、いつの間にか、理央の唇は目の前にあった。
理央はまるでその先を躊躇するように、こつんと互いの額をくっつける。
「さと……くん」
さすがの佳織だって、理央がこの先どうしたいかを読み取れた。
理央の名前を呼び終わる前に、乾いた唇が自らの唇に押し当てられた。
どこか、いやらしさを感じられなかった。
理央が子供っぽいからなのか。自分が寂しくて、性的な目線を向けられたこと怖さよりも、安心が勝るせいなのか。分からなかった。
幾度か唇が軽く触れる。
夫が亡くなってから久しぶりのキスだった。
襟元を撫でていた指先が震えている。
うっすらと切れ長の目を開くと、くりくりとした目を潤ませた理央の顔が目の前にある。
そして、顎に、頬に、幾度も唇が触れた。
お互いの心臓の距離が近い。胸元がくっつき、どきん、どきん、と互いの拍動が聞こえる。
佳織はこの優しい行為を心地いいと感じていた。
だが、彼だって男だ。
おそらく、これで終わるはずがないと、ほとんど夫としか経験がない佳織にも分かる。
そしてここは息子の部屋だ。愛を育むには、あまりに不義理すぎる。
「佐藤くん……まだ寝てていいから。向こうに戻るね」
体を離すために、佳織はそう言った。
「昨日は楽しかった」
「そう」
理央は佳織の首元から鎖骨の辺りに鼻をこすりつけるようにした。
理央が体をずらしたから、自然と佳織の左手は理央の頭を抱えるような体勢となる。
驚きはしたが、理央の体のぬくもりは心地良かった。
指先に力を込めて、理央の頭を優しく引き寄せる。
「佐藤くんが甘えてくれたから、あたしも弱音吐いていい? あたし、寂しかったのかも。人肌、安心する……」
佳織にそう言われながら、襟元の髪の毛を撫でられて、腹の奥がぎゅぅうっと熱くなる感覚が込み上げる。
だが、理央の感覚とは裏腹に、佳織は「安心する」のだと言った。
未亡人の心の寂しさと、理央の体の渇望は異なるだろう。
「ん……」
理央の唇が、鎖骨の辺りに押し当てられた。
佳織は声にならない声を漏らす。
偶然かと思ったが、いつの間にか、理央の唇は目の前にあった。
理央はまるでその先を躊躇するように、こつんと互いの額をくっつける。
「さと……くん」
さすがの佳織だって、理央がこの先どうしたいかを読み取れた。
理央の名前を呼び終わる前に、乾いた唇が自らの唇に押し当てられた。
どこか、いやらしさを感じられなかった。
理央が子供っぽいからなのか。自分が寂しくて、性的な目線を向けられたこと怖さよりも、安心が勝るせいなのか。分からなかった。
幾度か唇が軽く触れる。
夫が亡くなってから久しぶりのキスだった。
襟元を撫でていた指先が震えている。
うっすらと切れ長の目を開くと、くりくりとした目を潤ませた理央の顔が目の前にある。
そして、顎に、頬に、幾度も唇が触れた。
お互いの心臓の距離が近い。胸元がくっつき、どきん、どきん、と互いの拍動が聞こえる。
佳織はこの優しい行為を心地いいと感じていた。
だが、彼だって男だ。
おそらく、これで終わるはずがないと、ほとんど夫としか経験がない佳織にも分かる。
そしてここは息子の部屋だ。愛を育むには、あまりに不義理すぎる。
「佐藤くん……まだ寝てていいから。向こうに戻るね」
体を離すために、佳織はそう言った。

