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第5章 抱かれて、愛された

「おめでとう。初主演ドラマ、大成功だったね」

打ち上げが終わって、人気のなくなった夜の街。

二人きりになった瞬間、ようやく心から伝えられた。

恒星は、はにかんだ笑顔で「ありがとう」と言って、私の手をそっと握ってきた。

その手の温もりが、胸の奥に沁みる。

ここまでの道のりは、決して平坦じゃなかった。

一線を越えた夜も、泣きそうな朝も、何度もすれ違った心も――

それでも、いま彼は私の隣にいる。

私はふっと笑って、言った。

「……今夜は、凛としてじゃなくて、“私”としてお祝いしてもいい？」

恒星の目が、すぐに真剣になる。

彼は私をまっすぐに見つめて、短く息をのんだ。

「……それって、今夜、凛さんの部屋に行っていいってこと？」