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第4章 仕事と、欲望と

「……凛さん」

振り返ると、恒星がコーヒーのカップを持って立っていた。

「お疲れ。ブラックでよかったよね？」

彼の手が私のデスクにカップを置く。

ただそれだけの仕草なのに、胸の奥が揺れた。

「ありがとう。でも、気を遣わないで。マネージャーとタレントの関係なんだから」

そう言っても、自分の声が思ったよりも冷たく響いてしまう。

恒星は少し眉を寄せて、それでも笑みを崩さなかった。

「分かってるよ。でも……俺たち、そういう関係だけだった？」

「何言ってるの。あれは……間違いだったって、言ったでしょう」

自分の言葉が、まるでナイフみたいだった。

恒星の笑顔が少しだけ翳る。