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第32章 お父さん、嫌いにならないで

「はあっ……待ってくれ。君が俺のことをすでに愛していないのも、大翔が兄夫婦の子供だということも、今の話には関係ないだろう？　話を戻すが、なぜ女の子じゃだめだったんだ？」

「……あなた、気づいていないの？」

「何が……」

「私が陽菜を身籠った時、おかしいって感じなかった？　それとも見て見ぬ振りをしたの？　私たち、セックスしてないのよ？　なのにどうして赤ちゃんができたと思う？」

「！」

「私ね、バーで素敵な人に出会ったの。彼もまた不幸な人でね……彼を支えたいって思ったわ」

「まさか、お前っ……」

「ええ、陽菜は彼の子よ。あなたの子じゃないわ」

「！」

「彼がね、私が男の子を産んだら結婚するって言ってくれたの。だから私、男の子が欲しかったのよ」

「……っ！」


　あまりにも残酷な事実に、お父さんも言葉を失った。私は幼いながらも、この会話を聞いてショックを受けた。


　私はお父さんの子じゃない。
　お母さんの浮気相手の子供だった。
　

　たぶんこの瞬間から、お父さんは私を愛することをやめたんだと思う。


「そんな浮気相手の子供なんて……愛せるわけがないだろうっ……」


　私はその言葉を聞いて、目の前が真っ暗になった。