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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第1章 序章──わらべ歌

太古の闇より 在りしもの
モノノ怪 静かに 世に紛る
木々の囁き 川の吐息
石の陰にも そは潜む
月影ゆらめく 里の路(ミチ)
子らの笑顔に 宿る影
風の調べか その嘲りか
されど聞けよ 旅人よ
穏やかなるは 皆ならず
邪悪の意志を 抱くモノ
その最たるは 鬼の貌
鬼ども笑う 心の隙
血肉と怨みを 喰らうまで
見ずとも近く 息 潜め
人の愚かさ 待ちて彷徨う
夜の帳(トバリ)に 耳澄ませ
妖しの音ぞ 傍ら(カタワラ)響く
善も悪も 潜む世なれば
心の灯を 消さず歩めよ

