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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第23章 旅の夜

 巫女は男から受け取った風呂敷の荷物を隅に広げ、やれやれとため息をつく。

「手荒なことはやめてください……」

「お前こそいつまでこんな旅を続ける気だ」

「……そう簡単には終わりません。
 戦で命を落とした人、飢饉と疫病で亡くなった人、大蛇(オロチ)との取り引きで生贄にされた人、……そして、大蛇の罠にかかり人喰い鬼の退治に行って──蓬霊山(ホウレイヤマ)であなたに返り討ちにされた人」

「……」

「あまりに多くの血が流れましたから」

 巫女の声は静かだが、深い悲しみを帯びている。

 多くの命が犠牲になった──。彼女の弔いと供養の旅はまだまだ終わりそうにない。

 男は思わず問いを重ねた。

「…法師どもを殺した俺に報復はしないのか」

「しませんよ」

 問いかける男へ、巫女は穏やかに微笑む。

 その時、男は自らの擬態(ギタイ)を解き、鬼の姿に戻った。

 黒髪が銀色に変わって、従者姿から…いつもの漆黒の衣に替わる。


 鋭い牙が覗く口元がわずかに動くのを見て、巫女は言葉を続けた。

「報復などしません。人が人を殺すのが罪なように……" わたし " がモノノ怪を祓う事も、本来は道理に合わぬ所業です。悲しいですが」

 巫女は風呂敷から天哭ノ鏡(テンコク ノ カガミ)を取り出し、手ぬぐいで丁寧に拭いていた。

 鏡の表面が巫女の顔を鈍く映すと、そこには天狐の姿が映されている。


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