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第1章 過去

男とのデートは、もう3回目になっていた。
2回目の時、初めてキスを経験した。
カズミを真似て、頬を軽く赤らめ、照れたように微笑んでみせた。
すると、男は満足そうに微笑んだ。
どうやら、それが正解だったらしい。

その後、男の部屋に誘われた。
何度もキスを受け、そしてこちらからもキスを返した。
でも、そこに何の感情も湧いてこなかった。
ドキドキすることも、高揚感を感じることもない。
ただ、唇が触れ合っているという事実が、淡々とそこにあっただけだ。

カズミがよく話していた感覚を思い出す。
胸が締め付けられるような、甘くて切ない気持ち。
それは、私にはどうしても想像できないものだった。