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仮)純粋にはほど遠く
第1章 50女のリアル

映画館
千鶴子(千鶴ちゃん)と隣り合わせの席でポップコーンの大きな入れ物を抱えて、ポリポリとつまみながら、今時の純愛映画を観た。
千鶴ちゃん、鼻水垂らしながらハンカチで涙を拭う。
(この映画泣けるらしい……)
隣の千鶴ちゃんが泣いてるから、前評判も嘘じゃあないのな……
確かに松山南君の演技と声は良い。
私の推しだけはある。
観たいと言ったのは私だよ。
だけど有りがちな設定にうんざり。
もっと違うものを観たかった。
松山君が一般的には切ないであろうストーリーの中で、キスシーンをしている。
相手の女優は私と余り歳が変わらね演技派女優の牧あい子。
若くてイケメンの松山君に抱き寄せられて唇を重ねらなんて、
女優って美味しい仕事だよな。
工場でひたすら金属の検品をしているパート勤務のわたしから見たら、この贅沢過ぎる仕事が羨ましく思えた。
この映画のラブストーリーは現実味もないし、ストーリーも似たような結末のドラマが世に溢れていた。
私的には感動も涙もあげれない。
千鶴ちゃんのように、涙ながらにこの映画を堪能できる純粋さも、残念ながらわたしは失くしてしまったのかもしれない。

