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微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】





夜のナースコール、一か八か
出てくれたのは堺くんだった
やった、今日は夜勤だ
「どうされましたか?」って仕事モードなのは
当たり前だけどね
火照ってる私は構わず
「眠れないので薬もらえますか?」って呼び出す



一番軽めの睡眠薬を処方されるんだけど、堺くんは持ってきてなかった
まずは不安や慣れない環境で眠れないんだと判断したようだ



「何か熱くって」で検温されたけど熱はなし
「動悸がする」で血圧測られたけど問題なし
ジーッと見つめられて
「もしかしてまた誂ってやろうとか考えてます?」って聞いてくるんだよ
待ってたくせに……って思うんだけど



「もしかしてまた…って、この前は堺くんがおかしかったよ?欲しがってたの、堺くんじゃん?」


「あ、あれは……違います」


「ふーん……でも本当に眠れないの、お薬くれないの?」


「あまりポンポンと出すものでもないので……何か不安に思ってたりする事ありますか?よくお聞きするのは、部屋を変えて欲しいだとか、無音が逆にダメだったり、うるさいのもダメだったり、あとは…」



スクラブを引っ張って顔を近付けたら、わわわ…!とまたもや動揺している



「何で、一人で来たの?いつもニコイチで来るじゃん」


「た、たまたまです、夜勤はそんな昼間より居ないですよ」


「じゃ、早く戻らないとだね?」


「え、まぁ……」


「あの時の続き、しちゃう?」


「えっ……」


「え、もう真っ赤なんだけど……こっちまで移るからやめてよ」


「えっ、違っ…」



もう手っ取り早くいっちゃうよ
ベッド脇まで引き寄せたら私も立って両手は彼の首に回す
急展開についていけない?
真っ赤な顔して「ちょっと…っ」
目、逸らさないでよ……




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