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微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】

空気を読まない大智が入って来て
「抜けがけすんな」とかワーワー言い出したから
病院だし注意したんだけど、
「俺ともしてよ」って唇奪ってくんの
もうどうしようか、この関係性……
「ん………バカ」
別に煽ってなんかないから
先輩もすぐその気になって奪い合おうとするから
「ちょちょ、ちょっと、待って」と制止する
「退院するまでおあずけだから」
この言葉が一番効くんだよね、結局
シュンとしてる2人も可愛いけど本当におしまい
「あれ、食欲ないですか?」
夕食があまり喉を通らなくて管理してくれている看護師の堺くんに心配されちゃった
栄養面であれこれ言われるのもわかるんだけどさ
「正直、美味しくなくて……」
「でもちゃんと橘さんの健康面を考えてのメニューなのでそう言わずに食べましょうよ、あ、もしかして隠れて何か食べてます?申告してくださいよ?」
「食べてないよ」
「だったらもう少し食べてください、入院、長引きますよ?」
「今日の堺くん、意地悪…」
「橘さんの事を思って言ってるんです」
「じゃあ……あと一口だけで良い?」
「三口いきましょう」
「はぁ?うーん……」
子供みたいにスプーンを掬って口に運ぶけどなかなか開けれない
ジーッと見られてるのも……ねぇ?
「堺くんが食べさせてくれる?」
「え、良いですよ」
「え、それ多いよ、一口じゃ無理」
「クスッ……」
「なに?」
「いや、入院当初と比べて別人だなって」
「そりゃそうでしょ、入院当初の方が素直で良かったって?」
「いやいや、今は色んな顔が見れて嬉しいです」
ふーん、真顔でそんな事言っちゃうんだ?
天然なのかな
口に入れられて少し垂れてしまった
それを指で掬うのって普通…?
目が合ったら逃さないよ、私……

