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微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】





ヤバ……全然泣けない
泣き落としは得意じゃない



「俺の事はまだ好き?」



あ…………そんな風に言われたら強く出れない
先輩もわかってて仕掛けてきているように思えた
頷くしか出来ないよ、ズルいけど
後ろからギュッと抱き締めてきて大智が
「俺の事も好きみたいですよ」って馬鹿じゃないの?
腕を振り解いて怒ろうものならチュッてしてきてニコニコしてる
先輩の前でだよ!?



「聞いたよ、一華と付き合ってたって」



あの、ちょっとコンビニ行ってきて良いですか?
後は2人で宜しくしちゃってください……ってダッシュでこの場から逃げ去りたい……無理だけど



どこまで話したの?とも聞けないし
これは読み合いになる頭脳戦か
先輩だけだと思ってドア開けたら
後ろからひょこっと大智が現れて「よっ!」て血の気が引いたわ
つまり、先輩は大智が私と知り合いだと知ってて声を掛けた?
聞いたところによると、家から出てくるのを見てしまったみたい



いつ!?
そう、見間違いかなって思ったけどコンビニの袋下げてまた私の部屋に戻ったらしいからクロ確定……
しかも先輩の服を間違えて着てた時だ、最っっっ悪……
何で来てたのかって、先輩の胸騒ぎはあながち間違ってなかったみたい
こんな風に、人は終わっていくのかな……



すぐに言わなかったのは私を泳がせてたのかもね



「……ごめんなさい」



怖くて逃げ出したいのは山々だけど、目を見て話さなきゃ…とも思う
すぐに逸らしちゃうけど、何とか目を見て言えた
だからって許される事じゃないけど、説明とか出来る状況じゃないのはわかって欲しい
何を言っても全部言い訳になるもん
この沈黙も耐え難い……
自業自得だけども………





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