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微熱に疼く慕情
第3章 【甘く麻痺していく心情】





これはもしかしてフラれる?と感じたのか
膝の上で拳を強く握り締めていた



「私……今は付き合ってる人は居ませんけど、好きな人は居ます、ずっと忘れられない人です……もう諦めて次に進もうって思ってるのに、やっぱり浮かんじゃう人なんです、全然手の届かない人なんですけど……完全に吹っ切れるにはまだ時間が必要みたいで」



誰の事言ってるんだろうって?
それはただ一人、明島さんの事だよ
手に入れれそうで手に入れない人だから
空想の人物挙げるよりリアルな人の方が説得力もある
ずっと黙っているから最後まで聞いてくれるんだろうな



「だから、この気持ちがある以上はやっぱり先輩とは……ジャッジするとか偉そうな事言ってすみません……それと、キスも食事もその気にさせるような事もごめんなさい」



ちゃんと先輩に身体ごと向けて頭を下げる
沈黙が流れて何となく気まずい
伝わったかどうかはわからないけど言う事は全部言った
先輩自身を知った上でジャッジしてくれって言われてたけどもう充分かなって思うよ
これ以上先延ばしにしても傷付けない保証なんてないから



それにしても長い沈黙
それくらい真剣に考えてくれてるのかな
って思ったけど、ゴロン…と肩に頭が乗ってきた
え、寝てた?この数分で!?



「え、先輩…?」


「ん……酔いが回ってきたかも」


「え、え、大丈夫ですか?お水の方が良いですよね、買ってきます」



そう言うと手を掴んで離してくれない
肩を貸したまま、
「酔っ払いの一言だと思って聞いて?」と目を合わせてきた



「そんな難しく考えなくて良いじゃ〜ん、誰かと比べたり誰かを忘れようとして皆、恋愛していくんじゃないの?そのステップとして俺を使ってくれるんなら願ったり叶ったりよ?俺は、必ず橘さんを幸せにしてみせる、その笑顔ずっと守るよ、流されたって良いじゃん、利用してよ、俺を…」





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