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禁断の果実
第5章 婚約者
病院に行ったというのは全くの嘘だった。
私は校長にもレイプされたことを知られたくなかったのだ。
「クラスの担任は、他の先生と相談して何とかしよう…」
「ありがとうございます…」
「しっかりと治して来週からまた学校に来てくれるね?」
「はい、それは必ず…」
「じゃ、お大事に…」
「ありがとうございます…失礼します…」
そう言うと電話は切れた。
私は響がちゃんと学校に行っているのかどうかを知りたかったがそれは聞かないでおいた。
1週間休めると思うと心なしか気持ちが落ち着くのをこの時感じていたのだ。
でも、響や他の生徒たちの事も気にならないではなかった。
私はレイプ事件があってから床に臥せることが多くなっていた。
食事も余り食べる気になれず、コンビニでパンなど買ってきてはそれを食べていた。
それ以外は殆ど眠っていた様に思う。
眠っている時は意識が無いのでレイプ事件の事を忘れることが出来る。
それが、唯一の救いだと言えた。
火曜日が過ぎ、水曜日になり、木曜日が過ぎて行った。
そして、金曜日の夜の事だ。
私のアパートのインターホンが鳴った。
誰かと思いインターホンを見てみる。
すると、そこには響の姿が映し出されていた。
「先生、いないのかよ…」

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