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❤淫欲母子禁忌旅情❤
第2章 旅の始まり

禅の修行場として知られる円覚寺は、豊かな緑に抱かれ、セミの鳴き声が風に乗って響く。虫や鳥の声が紡ぐ自然の調べのほかは、静寂と荘厳さが深く交錯する場所である。総門をくぐり境内へ足を踏み入れると、すぐ脇の受付で参拝料を納め、目の前の階段を一歩一歩上がっていく。その先で堂々と姿を現すのが、重厚な山門(三門)。1785年に再建されたこの門は、時を越えてこの地を見守り続ける守護者のようだ。夏目漱石の「門」の舞台としても知られるこの建築物には、「三解脱門」という別名もあり、悟りに至る三つの関門を象徴している。
沙織は一瞬、ここを訪れたことを後悔した。厳かな空気と悠の反応がうまく噛み合わなければ、今日という特別な時間が台無しになってしまうかもしれない――そんな不安が胸の中をかすめる。
しかし、悠は予想外にも目を輝かせ、その圧倒的な静寂と荘厳さを真っ直ぐに受け止めているようだった。
「なんか…すごいね。この感じ、圧倒されるような気がする。」悠は、目の前の山門を見上げながら、感嘆した声でそう呟いた。
その一言に、沙織はふっと肩の力を抜くことができた。
彼の純粋な反応は、この門が持つ意味を、無意識にでも感じ取っているように思えたからだ。彼の感受性の鋭さに、そしてその感性を共有できることに、胸の奥が温かく満たされていく。
心のどこかで、自分よりも悠の方がこの場所にふさわしいと感じた沙織。彼の穏やかで澄んだ目に、ここで過ごす時間が、さらに特別なものになるように思えてならなかった。
沙織は一瞬、ここを訪れたことを後悔した。厳かな空気と悠の反応がうまく噛み合わなければ、今日という特別な時間が台無しになってしまうかもしれない――そんな不安が胸の中をかすめる。
しかし、悠は予想外にも目を輝かせ、その圧倒的な静寂と荘厳さを真っ直ぐに受け止めているようだった。
「なんか…すごいね。この感じ、圧倒されるような気がする。」悠は、目の前の山門を見上げながら、感嘆した声でそう呟いた。
その一言に、沙織はふっと肩の力を抜くことができた。
彼の純粋な反応は、この門が持つ意味を、無意識にでも感じ取っているように思えたからだ。彼の感受性の鋭さに、そしてその感性を共有できることに、胸の奥が温かく満たされていく。
心のどこかで、自分よりも悠の方がこの場所にふさわしいと感じた沙織。彼の穏やかで澄んだ目に、ここで過ごす時間が、さらに特別なものになるように思えてならなかった。

