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天狐あやかし秘譚
第57章 自縄自縛(じじょうじばく)
『寂しかった』

多分、それが彼女の動機だったのだ。自分は本質的につまらない人間で、周囲の人を楽しませなければ、人は自分とはいてくれない、そう思っていた。だから、盛った話をたくさんして、人を自分の周りに留めておこうとしたのだ。

ところが、玲子にはその必要がなかった。そんな事をしなくても、素の自分で付き合えた。それがどういうわけかわからなかったかもしれないが、だからこそ、京依にとって、玲子はとてもとても大切な親友だったのだ。

そして、その大切な親友のために、がんばって彼女の恋愛を応援もしたのだ。

ところが、彼女の告白が成功し、男の子との付き合いが始まった時、彼女は怖くなってしまったのだ。

また、自分は一人になってしまう、と。

「そういや、玲子ちゃんやクラスメートが言っとったで・・・。二学期の終わりくらいから、京依ちゃん、大分周りの人から避けられとったってな」
そう、京依は、話を盛りすぎたのだ。周囲の友人から『嘘つき』と言われてしまい、敬遠されていった。にも関わらず、彼女はこの方法、嘘をついて友達を繋ぎ止めようとすることをやめることができなかったのだ。この方法しか知らなかったからだ。

地獄のようだったかもしれない。
嘘に嘘を重ねて、それでも何も得られなくて、苦しくて、苦しくて・・・。
その中で、玲子だけが、彼女にとってオアシスのような人だったのだろうと容易に想像できる。だからこそ、玲子が離れていくかもしれないことは、ものすごい恐怖となって彼女の心を圧迫したに違いない。

そして、とうとう彼女は今まで玲子にだけはつかなかった嘘を、ついてしまったのだ。
『鬼に狙われている』
『私には霊能力がある』
と。幼い、あまりにも拙い嘘。必死で玲子を自分のもとにつなぎとめるためについた、苦し紛れの嘘。

しかし、たったひとりの本当の友人は、その言葉を信じずに行ってしまった。

「京依は、ただただ寂しかった。その思いがこじれてこじれて・・・それで、何かのきっかけで鬼になってしまった・・・」

土御門様によると、思春期の不安定な心情を持つ人間がたくさんいる学校のような場所は、澱のように陰の気がたまり、自然発生的に不安定な鬼道が現れることがあるという。
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