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天狐あやかし秘譚
第51章 堅忍不撓(けんにんふとう)
島本も、私も、ぽつりぽつりといろんなことを話した。尽きることのない、昔話。同窓会の時にはゆっくり話せなかったことだった。
25年のタイムラグを埋めるように、言葉が静かな店内に降り積もっていく。

テスト勉強を一緒にやろうと言って、結局テレビゲームで遊んでしまったこと。
二人してほぼ同時期に新しい自転車を買ったのが嬉しくて、30キロ以上海岸線を走って、帰り道が真っ暗になってしまったこと。
島本の部活の試合の応援に行ったはいいけど、女子に囲まれていて、なんか辟易したこと。
進路選択の紙を前に、放課後の教室で延々と将来について語り合ったこと。

蘇る、思い出。
あふれる、青春への憧憬。

「俺、ちょっとお前に憧れてたんだぜ?」
島本がニヤッと笑う。
「俺、高校の時、軽かったじゃん?まあ、今もかもしれないけど・・・。
 だからさ、お前みたいに落ち着いて、しっかりしてるやつってなんか、こう・・・いいなってな。それで、お前見ていると、やっぱ・・・まあ」

好きだわ、お前のこと。

その言葉に不覚にもドキリとする。もちろん、島本の『好き』が、私の『好き』と違うことなど百も承知だ。
ただ、今日はストレートのバーボンが効いていて、妙に昔のことも思い出してしまっていて・・・。

それに、おそらくこの後、同窓会はないだろうし、下手したらもう会う機会はないかもしれない、とも思っていた。

今回の同窓会。あの会自体、霧島が島本の様子を直接観察するために企画したものだったからだ。準備などにはとても労力を使っただろうに、『島本が不幸に喘いでいる姿を見たい』『他の同級生たちに自分を振った人間の末路を見せつけてやりたい』・・・そんな異常なまでの執着心があの会を実現させたのだ。だから、二度目があるかどうかわからない。

そんな風に思ってしまっていたからだろうか、
「俺も、お前が好き、だったよ」
つい、島本に言ってしまった。
隠さなければいけない、心の底に押し込めなければいけない、想いなのに。
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