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天狐あやかし秘譚
第51章 堅忍不撓(けんにんふとう)
だが、これではっきりした。相手は完全に素人だ。先程の式神とのいざこざではびっくりして管狐を引っ込めただけのようで、自分の使い魔が追跡されたり、ましてや呪いを返される可能性についてまるで考えてないとしか思えない。
そうでなければ、式を使った人間がいる可能性があるところに、のこのこ自分の使い魔を再び放つなどということは考えられない。

素人ならば、やりようはいくらでもあります。

私は一計を案じ、その場を離れる。なるべく会場の全てを見渡せる場所。そして、舞台を正面にして、島本と距離が取れる場所に・・・。

目の前にちょうどいい人がいる。クラスも名前もわからない女性。

すいません。ちょっとだけ、びっくりさせますよ・・・。

私は左手に媒介となる石の指輪をはめ、その人の肩に手を触れ、呪言を唱える。

『土公幻燈 石鏡よ水明を隠せ』

急に肩に触れたものだから、女性が振り返り、私の方を怪訝そうに見る。
「失礼・・・肩に糸くずがついていましたので」
にこりと笑う。
「あら、ありがとう」
一応、疑いは晴れたらしい。

すいません。一瞬なので・・・。
私は女性に呪力を送る。先程の術で、脳内に少しだけ細工をさせてもらった。その細工が私の放った呪力によって動き出す。

「きゃあ!ネズミ!!」

彼女が突然、大声を上げた。周囲の人がその声に反応してざわめく。

「え?ネズミ!?」
「どこだ!」
「きゃあ!いやあ!」
「どっちいった?」

実際にはネズミはいない。先ほど私が彼女にかけたのは、土の術式によって幻を見せる術、しかもほんの一瞬だけ視覚の自由を奪う、最も簡単かつ害の少ないものだ。それにより、彼女にネズミが目の前を走る様子を見せたのだ。

私がやったことはこれだけだった。
ただ、これで十分だった。

私は、術者を特定することに成功した。
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