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天狐あやかし秘譚
第37章 【第10話 疱瘡神】病入膏肓(びょうにゅうこうこう)

「東京から来た刑事さん、でしたかな?」
「はあ、そうなんです。テロリスト追うてましてな」
土御門が関西弁(正確に言えば京都弁)で喋ったものだから、んん!っと、瀬良が咳払いをする。名越が妙な顔をしたからだ。
瀬良が発言を引き継いだ。
「京都府警から『テロリストが危険物をもって岡山から京都へ移動している』との情報を得まして、そのテロリストが潜伏している可能性があるものですから、周辺の村や町をこうして当たっているわけです。」
「それはそれは、物騒な話ですな。危険物・・・とは?」
「申し訳ありません。それは捜査上の秘密でして、お伝えできないんです。それに、テロリストの人相風体についてもよく分かっていないので、我々としても『見知らぬ者を見なかったか?』と言った抽象的な聞き方しかできないわけです」
瀬良の標準語が功を奏したのか、名越がそれ以上疑いの目を向けることはなかった。それは大変ですね、と請け合ってくれた。宿については、ここの女中をしている人の生家が民宿を営んでいるということで、そこを紹介してくれることになった。
それではお暇を・・・、と立ち上がったところで、どうしても好奇心が抑えられなかったのか、土御門が名越に問いかけた。
「なんや、この家のご先祖様方、みなさんあまりよう似てはりませんな・・・。そういうお家柄なんでっしゃろか?」
ああ・・・と名越は写真を見渡す。
「私たちにとっては普通ですが、さすが刑事さん、目の付け所が鋭いですな・・・。実は、この名越家、女が跡継ぎになるっちゅう伝統がありまして。なので、これらみんな婿養子です。私とこの写真の祖父、曾祖父は全く血がつながってないっちゅうことですね。」
「へえ・・・おなごが継ぎはるんですか・・・。でも当主は男・・・。何やおもろい家系ですな」
宝生前なら喜んで突っ込みそうやな・・・。
土御門はそう思ったが、それ以上は特に興味もなかったので話を続けることはなかった。彼自身が遺影に興味を持ったのは全くの偶然というか、本当に単なる好奇心だったのだが、このことが後に大きな意味を持ってくるのであった。
「はあ、そうなんです。テロリスト追うてましてな」
土御門が関西弁(正確に言えば京都弁)で喋ったものだから、んん!っと、瀬良が咳払いをする。名越が妙な顔をしたからだ。
瀬良が発言を引き継いだ。
「京都府警から『テロリストが危険物をもって岡山から京都へ移動している』との情報を得まして、そのテロリストが潜伏している可能性があるものですから、周辺の村や町をこうして当たっているわけです。」
「それはそれは、物騒な話ですな。危険物・・・とは?」
「申し訳ありません。それは捜査上の秘密でして、お伝えできないんです。それに、テロリストの人相風体についてもよく分かっていないので、我々としても『見知らぬ者を見なかったか?』と言った抽象的な聞き方しかできないわけです」
瀬良の標準語が功を奏したのか、名越がそれ以上疑いの目を向けることはなかった。それは大変ですね、と請け合ってくれた。宿については、ここの女中をしている人の生家が民宿を営んでいるということで、そこを紹介してくれることになった。
それではお暇を・・・、と立ち上がったところで、どうしても好奇心が抑えられなかったのか、土御門が名越に問いかけた。
「なんや、この家のご先祖様方、みなさんあまりよう似てはりませんな・・・。そういうお家柄なんでっしゃろか?」
ああ・・・と名越は写真を見渡す。
「私たちにとっては普通ですが、さすが刑事さん、目の付け所が鋭いですな・・・。実は、この名越家、女が跡継ぎになるっちゅう伝統がありまして。なので、これらみんな婿養子です。私とこの写真の祖父、曾祖父は全く血がつながってないっちゅうことですね。」
「へえ・・・おなごが継ぎはるんですか・・・。でも当主は男・・・。何やおもろい家系ですな」
宝生前なら喜んで突っ込みそうやな・・・。
土御門はそう思ったが、それ以上は特に興味もなかったので話を続けることはなかった。彼自身が遺影に興味を持ったのは全くの偶然というか、本当に単なる好奇心だったのだが、このことが後に大きな意味を持ってくるのであった。

