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天狐あやかし秘譚
第102章 一気呵成(いっきかせい)
「がはあっ!!」
獣は再びのけぞり、その目や口許からどす黒い血が吹き出していく。佐那の技がかなり効いているのか、身体をふらつかせ、息が荒く、弱っているのは明白だった。反撃をしようと一歩、足を出そうとしたようだったが、どうやらそこで力尽きたらしい。そのままドスンと音を立て、黒い異獣は大地に伏していった。
す・・・すごい・・・。
ひゅううう・・・・
細く息を吐くと、ゆっくりと両の手を腰のあたりに落ち着ける。それに伴って、体中から立ち上る妖力が収まっていった。
「綾音様!・・・大丈夫ですか?それから・・・えっと、涼華さん・・・も?」
駆け寄ってきた佐那姫は、体つきはすっかり大人になっているが、喋り方は幼児体の彼女のままだった。それがなんともまた、奇妙な違和感を演出している。
「ありがとう、佐那」
私の方もやっと身体の震えが落ち着いてきた。それにしても、あまりにも圧倒的だった。さっきまで手も足も出なかったあの黒い異獣に反撃のチャンスすら与えないで倒してしまうなんて・・・。
そこまで考えて、私は、佐那の背後を見て、目を見開いた。私が突然言葉を切って息を呑んだ様子に気がついたのか、佐那がきょとんとした顔をしていた。
「あ・・・あれ・・・あれ、あれ!」
あまりの驚きに私はすぐに言葉を出すことができないでいた。なぜなら、佐那の背後で、真っ黒い何かが大きく、大きく膨れ上がるのを見てしまったからだった。それは見上げるほどに大きくなっていき、空の赤い月を覆い隠すほどになっていた。
黒い獣が・・・巨大化したっ!!!
「さ・・・佐那!ま・・・まだみたい!!」
え?っと佐那が後ろを振り向く。そこには身の丈10メートルはあろうかという大きな獣が山のごとくそびえていた。
「お前・・・ごときに・・・こ、このオレがぁ!!
オレは山の主・・・五百年にわたり、彼の地の王で・・・王であったのだぞぉ!」
その声は大気をビリビリと震わせる。あまりの怒声に、地響きが起きているのではないかと錯覚するほどだった。
「さ・・・佐那!」
相当、私は情けない声を出していたのだろうと思う。だが、そんな私の方を振り返って、佐那がにこりと笑った。
「ご安心召されよ・・・綾音様。
たかだか五百歳の山の主・・・私の敵にはございません!」
獣は再びのけぞり、その目や口許からどす黒い血が吹き出していく。佐那の技がかなり効いているのか、身体をふらつかせ、息が荒く、弱っているのは明白だった。反撃をしようと一歩、足を出そうとしたようだったが、どうやらそこで力尽きたらしい。そのままドスンと音を立て、黒い異獣は大地に伏していった。
す・・・すごい・・・。
ひゅううう・・・・
細く息を吐くと、ゆっくりと両の手を腰のあたりに落ち着ける。それに伴って、体中から立ち上る妖力が収まっていった。
「綾音様!・・・大丈夫ですか?それから・・・えっと、涼華さん・・・も?」
駆け寄ってきた佐那姫は、体つきはすっかり大人になっているが、喋り方は幼児体の彼女のままだった。それがなんともまた、奇妙な違和感を演出している。
「ありがとう、佐那」
私の方もやっと身体の震えが落ち着いてきた。それにしても、あまりにも圧倒的だった。さっきまで手も足も出なかったあの黒い異獣に反撃のチャンスすら与えないで倒してしまうなんて・・・。
そこまで考えて、私は、佐那の背後を見て、目を見開いた。私が突然言葉を切って息を呑んだ様子に気がついたのか、佐那がきょとんとした顔をしていた。
「あ・・・あれ・・・あれ、あれ!」
あまりの驚きに私はすぐに言葉を出すことができないでいた。なぜなら、佐那の背後で、真っ黒い何かが大きく、大きく膨れ上がるのを見てしまったからだった。それは見上げるほどに大きくなっていき、空の赤い月を覆い隠すほどになっていた。
黒い獣が・・・巨大化したっ!!!
「さ・・・佐那!ま・・・まだみたい!!」
え?っと佐那が後ろを振り向く。そこには身の丈10メートルはあろうかという大きな獣が山のごとくそびえていた。
「お前・・・ごときに・・・こ、このオレがぁ!!
オレは山の主・・・五百年にわたり、彼の地の王で・・・王であったのだぞぉ!」
その声は大気をビリビリと震わせる。あまりの怒声に、地響きが起きているのではないかと錯覚するほどだった。
「さ・・・佐那!」
相当、私は情けない声を出していたのだろうと思う。だが、そんな私の方を振り返って、佐那がにこりと笑った。
「ご安心召されよ・・・綾音様。
たかだか五百歳の山の主・・・私の敵にはございません!」

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