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天狐あやかし秘譚
第102章 一気呵成(いっきかせい)
私は抱き上げた佐那に呼びかける。それに答えて彼女は薄っすらと目を開いた。その実体はもうほぼ透明と言っていいほどに微かなものになってしまっており、彼女の体の感覚はほとんど感じられなくなっている状態だった。

黒い獣は、そんな私たちを見て、『最後の悪あがき』とでも思ったのか、ただニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。

「綾音・・・様・・・」

妖力を失い、自らが消滅する危機に瀕してまで・・・そして、こんなにぼろぼろになっても尚、彼女は立ち上がろうともがいていた。それを見て、私は胸が一杯になる。

「佐那・・・お願い・・・」
そっと、その額に口づけをする。微かにまだ、唇に佐那の体温を感じた。

「これを乗り切ったら、絶対・・・絶対に」

ダリと三人で、愛し合いましょう・・・
だから・・・

「お願い・・・もう一度、もう一度・・・立って!!!」

ぎゅっと抱き締める佐那の身体。その胸の辺りにポゥと温かな光が灯る。その光はすぐに大きくなり、全身を包み込む眩い光となっていった。

「な・・・に!?ぐううぅう・・・」

その清浄な光の奔流に、獣がたまらず目を眇め、後ずさった。
光に包まれた佐那の身体が、ふわりと空中に浮かび上がった。

「佐那・・・」

予想以上の変化に私の方がびっくりしてしまう。そう、ここで私が試したのは『契』による妖力の一時的な超回復だった。かつてのダリもそうだった。私との間の約束・・・『あとで必ずエッチするから』という『契』が彼の妖力を一時的とはいえ、爆発的に回復させたことがあった。

同じことが佐那にも効く保証などなかった。ただ、これしか方法が思いつかなかったのだ。だから私は、一か八かの賭けに出た。

それにしても・・・この変化!

光の中、佐那の手足がぐぐぐっと伸びていく。顔は見る間に大人びたものになり、肩までだった髪の毛がもみるみる長くなり、背中に届くほどの緑なす黒髪となっていく。

せ・・・成長している!?

ぶかぶかだった巫女服は逆に身体に比して小さくなっていく。手足がニョキニョキとはみ出していき、丁度、よくアニメなどにありがちな七分袖の着物に太股の付け根が見えそうなほどの丈の短い袴を履いたような・・・セクシーなくノ一のような状態になっていった。

そして・・・胸が・・・胸が!!
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