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天狐あやかし秘譚
第91章 顧復之恩(こふくのおん)
「ぐああああああっ!!」

十和子の表情が苦悶に歪み、半径1メートルほどの結界内で暴れまわる。十和子の力により、結界が内側から力を受け、嫌なきしみを上げる。

「くっ!」

日輪印を突き出したままの姿勢で日暮が唇を噛んで呪力を絞り、結界の維持に努める。そもそもが、占術を専門とする『占部衆』の術者である。攻撃呪も結界法も、彼女にとっては専門外だ。それでも最大の呪力を絞って、十和子の身体を押さえつけようとする。

「は・・・早く・・・御九里・・・さん・・・早く、は、祓って!」

手がブルブルと震え、今にも日輪印が崩れそうになる。結界の内部からの圧力がそのまま日暮の身体にダメージとして伝わってきてしまっているのだ。
しかし御九里も素早かった。日暮が攻撃をしかけたその隙に、態勢を立て直し、傍らに跳ね飛ばされた自らの武器を拾い上げていた。

「日暮!そのまま押さえてろ!」

御九里は刀を高く持ち、その刀身が顔にかかるように構える。いわゆる霞の構えというやつだ。

・・・土御門さん、技を借りますっ!

「天地開闢 四神天帝を奉る
 霊光、星辰、日形、月形、極みて退けよ
 東方青帝土公、南方赤帝土公、西方白帝土公、北方黒帝土公、赤門より再拝せよ」

切っ先が光り始め、刀身が細かく震え、鳴動する。身体から立ち上る呪力は呪言により四神の光に変換され退魔の力となって収束していく。

「え・・・?その呪言て・・・」

九条が御九里の放とうとしている術式を察知して目を見開く。それもそのはず、この術は、金気における最高呪のひとつ、陰陽寮では唯一土御門のみが使えると考えられていた四神退魔法が一法

「霊光剣戟 急急如律令!」

霞の構えから上段に振り上げた鬼丸国綱改を一息に振り下ろす。
その術式の名は・・・

「四神霊光檄!」

振り下ろした刀から、円弧状の光刃が迸る。それが日暮がかろうじて維持していた石気の結界に囚われている十和子を両断せんと迫っていった。

しかし・・・
「があっあああぁあっ!!」

最後の力を振り絞って十和子がその両の手を拡げ、日暮の結界を内部から打ち破る。「きゃあ!」と軽い悲鳴を上げ、日暮の日輪印がバチンと音を立てて解けてしまう。
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