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天狐あやかし秘譚
第79章 義勇任侠(ぎゆうにんきょう)
☆☆☆
スクセは自身が持っている神宝・沖津鏡が細かに震えるのを感じ、そちらに目をやった。ぼんやりと鏡が光っているのを見て、訝しく思う。

こんなこと、今までにあっただろうか?

緋紅の方を見ると、彼の傍らにある小引き出しもカタカタと震え、薄ぼんやりと光っており、更に左手に目をやると、壁に掛けられた神宝・八握剣も同じように震え、光を放っていた。

「ん?気になるかい?」
スクセの視線を受けて、緋紅が言った。傍らの小引き出しからおもむろに不思議な色合いの勾玉を取り出す。それは、彼の持つもう一つの神宝・道返玉だった。

「神宝の共鳴だよ。さすがの陰陽寮随一の結界師でも、全力の神宝の力を全て封じ込める事はできないみたいだね」
「一体何が・・・?」
手に持った沖津鏡が放つ不気味な光をまじまじと見つめながら、スクセが呟いた。緋紅はさも退屈というような風情であくびを噛み殺す。
「何、生玉が暴走したのさ。やっぱりダメだったみたいだね、カダマシは」

残念だなあ・・・などと、呟いてはいるが、そこに感情は全くこもっていなかった。
まだ要領を得ないというふうな表情を浮かべるスクセに対して、クスリと笑って、彼は付け足した。

「ほら、カダマシの心臓に生玉埋め込んだだろ?そのとき、仕掛けといたんだ。限界まで、力を発揮してなお、勝てなかったときはさ、ボン!って爆発するように」

今頃、きっと、あの結界内は地獄だよね・・・と楽しげに笑う。

「そんな・・・」
スクセは色を失う。
「ん?なんでだい?」
緋紅の口調はあくまでフラットだ。それは、スクセが口にした疑問の主旨が本当にわからない、という風に聞こえた。
「だって、使命を果たせなかったら悔しいだろ?でも、最後神宝が暴走して爆発すれば、少なくとも黄泉平坂を塞ぐ千引の大岩は砕けるよね?そうすればミッション達成だ・・・素晴らしいことじゃないか」
「ああ、片霧麻衣のこと?彼女は大丈夫。ヤギョウが守るからね。・・・あ・・・でも、クチナワは巻き込まれて死んじゃうかもなあ。・・・ま、でもヤギョウがちゃんと2人分の神宝回収してくれるだろうし、大丈夫、大丈夫」

それにしても、中が見れないのは残念だね・・・
最後に緋紅は、そう呟いた。
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