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背徳は蜜の味
第29章 人妻その二十九 ~痴漢集団にレイプされて~
カリカリカリ…
誰もいなくなったデザイン室に四ツ木知美のペンを走らせる音だけが響く。
知美はファッションデザイナーの卵で
次のコンクールで何としてでも入選してデザイナーとしての夢を叶えたいと思っていた。
だから、皆が帰宅した後も
こうして一人だけで居残りしてデザインを仕上げておきたかった。
ガチャ…
作業室の扉が開いてガードマンが顔を覗かせる。
「あれえ?まだ帰っていなかったの?
ダメだよ帰ってくれなきゃ
この部屋はねセキュリティでもうすぐロックがかかるんだよ
誰かが居るとセンサーが反応して警備会社の奴らが駆けつけるんだから、さっさと帰ってよ」
「じゃあ…どこか他の部屋なら大丈夫ですか?」
「ダメダメ!全館警備だからね
人っ子一人でも残られると私たちが迷惑するんだから」
ほらほら、早く帰りなさいと
警備員は室内の灯りを次々と落としてゆく。
『仕方ない…帰るとしますか…』
次回の発表会のために夫にも無理を言って家事の全てを賄ってもらっている。
だからこそ夫のためにも自分のためにも、是が非でも入選したいと気持ちばかりが焦っていた。
腕時計に目をやると、まだ最終電車には間に合いそうだ。
ノートパソコンをパッグにし舞い込むと知美は大急ぎで作業室を後にした。
金曜日の夜ということで
最終電車は酔っぱらいの人たちで満員だった。
そんな中、酔っぱらいではない人たちに囲まれて知美はホッとした。
下戸の知美は、あの酒臭い吐息が苦手だったのだ。
それに、何かと絡まれては疲れが倍増しそうな気がした。
つい先日も、身なりのしっかりしているキャリアウーマンらしき女性が絡まれていたのを知美は見ていた。
『あの人、あれから無事に帰れたかしら…』
もし、自分があんな風に絡まれたら泣き出してしまうかもしれないと電車の揺れに身を任せていた。

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