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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻
「母上、俺は公子がただ欲しくて、手に入れたいと申しているのではありませぬ。初めて出逢った幼い日から、公子は俺の中にどっかりと棲みついた。俺が帝であろうとなかろうと、あの姫は臆することもなく堂々と物を言う。そんなところが腹立しくもあり、また珍しくもあるのです。これまで姫にはとかくの風評がありました。一生嫁ぐことも叶わぬ身だと世間では言われ、姫自身、どこかに嫁ぐことなど思いもよらなかったでしょう。
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