この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い果実
第6章 青い果実
トオルはそのコンドームの箱を持っていた小さなバッグへとねじ込んでいた。
でも、私はこの青年をとても優秀だと感じたのだ。
ベッドインする時、男性はいつも避妊をしようとしないと思っていたからだ。
何故、女性は避妊を男性任せにするのだろう。
私はいつもそう考えていた。
女性がもっと強く避妊をしてくれと言ってもいいではないか。
妊娠して困るのは女性の方だと思ったのだ。
望まない妊娠をして、やりもしたくない堕胎をして、罪の意識にさいなまれる女性も多いと聞く。
そんな思いは私もしたくはないと思っていた。
トオルは女性が妊娠することに、非常に敏感に感じていたらしい。
それは、多分、まだ結婚していない彼女がいたからではないか。
“デキ婚”を彼は望んではいなかったのだ。
子供は、妊娠とは、結婚してから作るものだと思っていたらしい。
私は、世の他の男性にも聞かせてやりたい話だと思った。
そんな、トオルは横浜駅の外れまで私を連れて行く。
ちょっと駅から遠く離れると、怪しいネオンサインが見えてきた。
そこは、暗がりに浮かぶ街の様に見えた。
ホテルの看板が煌めいて見えたのだ。
「美都、どこのホテルがいい?」
「どこでも、構わないわよ…」
しかし、土曜日の夜なので、どこも満室だった。
私たちは、空きホテルを探しながらホテル街を歩いてゆく。
前回、個室でのキスをその時私は思い出していた。
もう少しの所で誠一から電話が掛かって来たのだ。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


