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青い果実
第4章 居酒屋
私は、トオルを促した。
トオルが向かいの席から私の隣の席へと移動してきた。
私の心臓はドキドキしていたのだ。
隣の席に座ると、いきなりトオルが私の肩を抱き寄せてくる。
「美都、彼女のことも好きだけど、美都のことも好きだよ…」
そう言うと、トオルは私の顔をグイっと自分の方に向けた。
そして、自分の唇を私の唇に重ねてきたのだ。
始めはフレンチに、そしてディープキスへと変わってゆく。
私の身体が熱くなってくるのが分かった。
キスをし終わるとトオルが私の身体をギュッと抱きしめてきた。
「トオルくん、ダメよ、こんなところでこんなことしちゃ…」
「でも、美都のことが好きなんだ…」
そう言うと、またキスをしようとしてくる。
その時だった。
私のバッグに入っているスマホがブルブルと振動して音を鳴らした。
私は、我に返りバッグからスマホを取り出し、出てみた。
すると、相手は夫の誠一だったのだ。
「誠一さん?どうしたの?」
「あぁ、美都かい?エリちゃんと飲んでる所悪いんだけど、俺、何だか熱があるみたいなんだ…」
「え?なんですって?」
「うん、熱図ったら38.9度だった…」
誠一はとても弱々しくそう言ってきたのだ。
私は、とても心配になった。

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